評価基準と計算方法 

 病院の治療機能の客観的評価については、財団法人日本医療機能評価機構による評価があります。精神科病院についてはその独自領域をも踏まえた評価項目が工夫されていますが、2007年3月現在、大阪府下の精神科病院(57−枚方療育園、大阪医療刑務所支所病院を除く。精神科ベッドをもつ総合病院を含む。)のうちこの病院機能評価を受けているのは12病院に過ぎません。また調査の実施および公表はまったく当該病院の任意であるところから、精神科病院についての情報を求める患者・家族などが利用するには限界があります。そして、専門家である第三者による評価ですから、専門性を背景にしてはいますが、一般市民、ユーザーとしての視点からはわかりにくいところもあります。
 人権センターの評価基準は、患者の人権が守られ、安心して入院治療を受けることができるかどうかという視点から、個別精神科病院のおおまかな医療と療養環境の水準を推測しうる情報として参考になろうかと思います。

 病院評価項目は次の9項目にまとめました。

1. 開放病棟の割合
2. 任意入院の患者は開放処遇されているか?
3. 医師は充足しているか?
4. 看護は充足しているか?
5. 心理療法士、作業療法士、精神保健福祉士などのコメディカル・スタッフは充実しているか?
6. 短期入院の割合
7. 長期入院の割合
8. 超長期入院の割合
9. 外来診療は活発におこなわれているか?

 1と2は、病院が患者の開放処遇につとめているかどうかの指標ですが、とくに任意入院の閉鎖処遇が問題になります。任意でありながら閉鎖病棟にあって行動が制限されている例があります。
 3、4、5は病院が十分な職員を配置しているかどうかをみます。病院精神医療においてとくに求められる治療関係における安定した持続性一貫性を保障する観点から、常勤職員数を中心に評価します。5のうちとくにPSWスタッフは、長期入院の解消、退院促進、地域資源との連携のために現在もっともニーズの多い職種です。
 7、8は、長期入院者がどの程度在院しているか、また退院のための努力がいかになされているかをみます。
 6、9は、病院が入院期間の短縮をはかり、外来診療を充実させ、精神科としての十分な治療機能をもっているかどうかをみます。

以上の9項目の数値の算出方法は次の通りです。

1 .開放病床率=[8時間以上開放病床数]÷[精神科病床数]×100
2. 任意入院開放処遇率=[夜間外開放病棟の開放処遇数]÷[任意入院数]×100
3. 医師一人あたり病床数=[精神科病床数]÷[常勤医師数]
4. 看護師一人あたり病床数=[精神科病床数]÷[常勤看護師数]
5. コメディカル一人あたり病床数=[精神科病床数]÷[常勤心理療法士数+常勤作業療法士数+常勤精神科ソシアルワーカー数]
6. 3ヶ月未満在院者率=[在院3ヶ月未満患者数]÷[同月在院患者数]×100
7. 5年以上在院者率=[在院5年以上患者数]÷[同月在院患者数]×100
8. 20年以上在院者率=[在院20年以上患者数]÷[同月在院患者数]×100
9. 病床規模に対する外来受診数の割合=[1ヶ月外来数]÷[精神科病床数]

段階評価と個別病院のレーダーチャート

これら各項目について、5段階評価を加え、総合得点45点を満点として、グラフにあらわしました。項目ごとに示される評価点は相対的なものであり、各病院のレーダーチャートなどを相互に比較し、あるいは、同一病院について前年度と比較することによってのみ意味があります。

5段階評価表

評点
1
2
3
4
5
開放病床率 20%未満 20%以上〜40%未満 40%以上〜60%未満 60%以上〜80%未満 80%以上
任意入院開放処遇率 50%未満 50%以上〜60%未満 60%以上〜70%未満 70%以上〜80%未満 80%以上
医師一人あたり病床数 100床以上 70床以上〜100床未満 50床以上〜70床未満 30床以上〜50床未満 30床未満
看護師一人あたり病床数 5床以上 4床以上〜5床未満 3床以上〜4床未満 2床以上〜3床未満 2床未満
コメディカル一人あたり病床数 100床以上 70床以上〜100床未満 50床以上〜70床未満 30床以上〜50床未満 30床未満
3ヶ月未満在院者率 5%未満 5%以上10%未満 10%以上20%未満 20%以上40%未満 40%以上
5年以上在院者率 65%以上 55%以上65%未満 45%以上55%未満 30%以上45%未満 30%未満
20年以上在院者率 30%以上 20%以上30%未満 10%以上20%未満 5%以上10%未満 5%未満
外来受診数/病床数 2.0未満 2.0以上4.0未満 4.0以上7.0未満 7.0以上10.0未満 10.0以上