お知らせ

「退院できない理由」は誰の理由だろう-個別面会ボランティア養成講座

2020.05.06 UP

社会的入院の解消に向けて「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が打ち出されて15年以上経過しましたが、長期入院の数は微減です。このままではこの何年かで死亡退院が増加し、入院患者は自然減することになります。この意味は、精神保健福祉医療の体制が不十分なまま、制度設計もシステムもなく、私たちが精神疾患になり入院すると、退院できない状況が続くということです。

新しく入院する方の約9割は1年未満で退院されますが、1年以上入院される方はほとんど減りません。1年以上入院の方のうち7割は、死亡か、他の病院に転院になります。長期入院の方に退院可能性がない訳ではなく、住むところや在宅サービスの支援体制が整えば退院できる方もいらっしゃいます。

「病状が悪くて入院している…」と認識しているのは、入院中の方も病院スタッフも3割程度です。
残りの7割には次のような理由が挙がりました
・住居がないこと
・家族が反対している
・お金がないこと
・退院が不安である
・入院継続したい
・その他

「・・・・という理由で病院で暮らし続ける、私。」

退院できない理由を聞くと、入院中の方の理由ではなく、支援者のあきらめや、家族の不安、あるいは入院中の方本人が長い入院生活に「違う意味づけ」を見出したパターンなどがあります。

大阪精神医療人権センターのボランティア活動では、入院中の方へ面会に伺い、様々な相談や思い、希望に耳を傾ける「個別面会活動」を行っています。「純粋にニーズをきくことからスタートする活動」と角野さん。

現在、面会・電話・手紙による相談に対応するボランティアは50名を超えました。講師の角野太一さんは、このボランティアを養成する講座で、「退院できない理由が誰の理由か考える」と題した1コマを担当しています。
動画では、数字を示して解説するマクロな視点と、個別のケースよりミクロな視点で「退院できない理由」を学びます。

テキストのご案内

個別面会ボランティア養成講座で使用するテキストは、webで購入することができます。

この冊子は、「人が生まれながらに有する大切な権利(人権)」の視点から、精神科に入院中の方へ面会に行くときに知っていてほしいことをまとめたものです。
 日本の精神医療の現状や課題は、まだまだ広く知られていません。私たちは、日本の精神医療を変えていくために、たくさんのひとたちに、現状と課題を知ってもらいたいと考えています。この冊子は、イラスト等を活用し、分かりやすいように心がけました。
 是非、この冊子を手に取って、実際に病棟に訪問し、入院している方の声く活動に参加してください。私たちやみなさんの活動がきっと閉じられた扉をひらくことにつながっていくものと信じています。

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書店での取扱はありません。WEBサイトよりお申し込みください。【ご購入はこちら】

講師派遣のご案内

大阪精神医療人権センターのビジョン(目的)の一つには、「社会をかえる~安心してかかれる精神医療を実現する~」があります。 この目的を実現するためには、長年の活動から得られた経験、ノウハウをもとに、当センターのビジョン(声をきく、扉をひらく、社会をかえる)をもとに、学校、病院、福祉施設、行政機関、NPO等の非営利組織等の団体に対し、これまで講師派遣(有償)を実践してきました。 この活動により精神障がい者の自由が守られ、また、精神障害・精神疾患に対する差別、偏見の解消を目指しています。病院内の人権研修にも対応します。 まずは、お気軽にお問い合わせいただき、研修内容、講師等について、ご相談ください

講師派遣のご案内  https://www.psy-jinken-osaka.org/instructor/

当センターの活動を維持し、充実させるためにご支援をお願いします。

現在、当センターの活動には、当事者、家族、看護師、PSW、OT、医師、弁護士、教員、 学識経験者、マスコミ関係者等の様々な立場の方が、世代を超えて参加しています。当センターは精神科病院に入院中の方々への個別相談や精神科病院への訪問活動、精神医療及び精神保健福祉分野への政策提言活動等を行っています。

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