お知らせ

「精神科病院における医療保護入院」を知る!!│人権センターニュースバックナンバーより

2019.04.04 UP

私たちは医療保護入院問題に「人権」をキーワードとして取組んでいます。

人権とは、個人の尊厳とはなにか。人権の観点から強制入院・行動制限を考えると権利擁護(アドボケイト)の必要性が不可欠になります。精神科に入院中の方の権利を守る活動と精神医療にかかわる法律について弁護士による解説です。ボランティアの方だけではなく、精神医療に疑問をもつ方、実践の場におられるスタッフの方、医療福祉職を志望する学生の皆様、精神医療の実態について学んでいる方などにごらんいただきたい、権利擁護が必要な理由についてご紹介する動画です。

「大阪精神医療人権センターの実践
~安心してかかれる精神医療を目指して~」

講師 大阪精神医療人権センター理事・弁護士細井大輔
https://vimeo.com/ondemand/volomh

本特集では、「医療保護入院」を考えるために、「医療保護入院」の内容や現状をご紹介します。是非、ご一読の上、総会・記念パネルディスカッションにご参加ください。
記念パネルディスカッションでは、①医療保護入院の現状や背景、②法的観点から見た医療保護入院の問題点、③医療保護入院以外の選択肢、④相互作用を考えていきたいと思います。はじめての方でも、大阪府以外の方も、是非、ご参加ください!!

精神保健福祉法における入院形態

精神保健福祉法における入院形態には、大きく分けて①任意入院、②措置入院、③医療保護入院があります。
医療保護入院は、強制入院(本人の同意が不要)の一つです。

医療保護入院の歴史

1950年、精神病者監護法及び精神病院法が廃止され、精神衛生法が制定され、保護義務者の制度とともに、保護義務者による同意入院制度ができあがりました。
 その後、1988年に精神保健法が施行され、任意入院制度とともに、「保護義務者による同意入院」を「医療保護入院」と改名し、指定医の判定を医療保護入院の要件としました。
 2013年精神保健福祉法改正では、保護者制度が廃止され、家族等同意に変わりました。保護者制度の廃止の詳細は、人権センターニュース140号10ページ以降の「平成25(2013)年精神保健福祉法改正における「保護者制度の廃止」について~解説と感想~」をご覧ください。

医療保護入院の要件

  医療保護入院は、本人の同意がなくても、

・精神科病院の管理者が、
・家族等のうち、いずれかの者の同意があり、
・精神保健指定医1名の診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護の入院の必要があり、
・任意入院が行われる状態にないと判定された

場合に行われるとされています(精神保健福祉法33条1項)。

厚生労働省資料

「家族等」とは、誰を指しますか。

「家族等」とは、医療保護入院の対象となる方の①配偶者、②親権を行う者、③扶養義務者及び④後見人又は⑥保佐人をいうとされています(精神保健福祉法33条2項)。

 

ただし、

(i)行方の知れない者、(ii)当該精神障害者に対して訴訟をしている者、又はした者並びにその配偶者及び直系血族、(iii)家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人、成年被後見人又は被保佐人、(iv)未成年者は除かれます。

医療保護入院における「市町村長同意」

精神保健福祉法33条3項では、家族等がない場合又はその家族等の全員がその意思を表示することができない場合には、市町村長の同意があるときは、医療保護入院ができるという規定があります。

なお、改正が議論されていた精神保健福祉法では、「家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とする」ということも検討されており、市町村同意の対象が拡大される議論がされていました。</p

「医療及び保護」の必要性とは??

 

入院届や定期病状報告

精神科病院の管理者は、入院後10日以内に保健所経由で入院届や入院予定期間を記載した入院診療計画を提出し、また、12か月ごとに定期病状報告を提出することになっており、精神医療審査会が審査することになっています。

しかしながら、入院継続不要と判断される割合はほぼ0%です(2016年度の衛生報告例)

2013年精神保健福祉法改正と精神科病院管理者の責務

① 退院後生活環境相談員の選任(精神保健福祉法33条の4)
上記相談員とは、「医療保護入院者が早期に退院できるよう、個々の医療保護入院者の退院支援のための取組において中心的な役割を果たすことが求められている」とされています。

② 地域援助事業者との連携(精神保健福祉法33条の5)
地域事業者の紹介は、退院後に利用する障害福祉サービス、介護サービスについて、退院前から相談し、円滑に地域生活に移行することができるように、精神科病院の管理者の努力義務とされています。

③ 医療保護入院者退院支援委員会での審議(精神保健福祉法33条の6)
支援委員会は、入院の必要性を審議する体制を整備するとともに、入院が必要とされるなら、その推定期間を明確にして、退院に向けた取組を審議する体制を整備するために設置されています。

精神科病院に入院中の方の相談を受けている弁護士さんから、以下の相談がありました。

① 相談員の方に、入院中の方に対し、退院後の地域資源に関する情報提供を依頼しましたが、主治医が、「治療によくない」、「退院させるつもりはない」と言っており、主治医の許可がとれないといって、その相談員の方は、情報提供に応じてくれませんでした。

② 主治医は、病識がないので、疾病教育をしても意味がないと説明していましたが、定期病状報告には、疾病教育の必要性を理由に入院継続を指示していました。

③ 退院支援委員会の開催は30分以内に限定されていると言われ、25分ぐらい経過し、主治医が次の予定があるからと言って、退席しようとしたため、「入院が必要と推定される入院期間」を確認したところ、「じゃあ1年」と言って、その場を立ち去っていきました。

精神科病院の管理者は、その責務を果たしていると言えるのでしょうか??

■人権センターニュースバックナンバー2018年4月号 140号

▽大阪精神医療人権センターの活動にぜひご参加ください
▽2017年度 権利擁護システム研究会を振り返って&2018年5月26日開催の総会・記念パネルディスカッションに向けて
▽「わからない」ということが「わかってきた」-医療保護入院への根本的疑問-/権利擁護システム研究会コーディネーター 竹端 寛(兵庫県立大学)
▽第4回権利擁護システム研究会 報告/権利擁護システム研究会参加メンバーより
▽「精神科病院における医療保護入院」を知る!!
▽平成25(2013)年精神保健福祉法改正における「保護者制度の廃止」について~解説と感想~/森口 秀樹(精神科医・八戸ノ里クリニック)
▽療養環境サポーター活動報告/榎坂病院
▽療養環境サポーター活動報告/大阪急性期・総合医療センター
▽2017年度 日本財団助成事業「精神科病院入院者への権利擁護活動の様々な地域への拡充」・個別相談[電話・面会]の検討チームの実施報告
検討チームに参加して~感じたこと・今後の課題~/彼谷 哲志 角野 太一 西川 健一 渡辺 みちよ
▽厚生労働省2018年新規予算「『意思決定支援等を行う者』に対する研修事業」について/山本 深雪(大阪精神医療人権センター 副代表)
▽入院患者さんの声

人権センターニュースの購読は、年間3000円より【入会はこちら】

本誌は日本財団助成事業「精神科病院入院者への権利擁護活動の様々な地域への拡充」の一環として作成しました。

関連記事
日本の精神医療の現状と課題

日本の精神科病院は、世界的にみても入院者数がきわめて多いといえます。
半数近くが強制入院(医療保護入院や措置入院)であり、任意入院者も多くが閉鎖処遇を受け、長期入院を強いられています。

増え続ける医療保護入院の実情~精神医療政策から考える~│人権センターニュースバックナンバーより

私は精神科医療の現場で働く看護師です。大阪精神医療人権センターでは、発足当時から電話相談などを担当しています。精神科では自分の権利を守る手段が奪われていないか?最初に、精神科病棟への入院と権利について考えてみましょう。下に示しているのはCAPという、子どもが自分の権利を守るCAPプログラムの図です。

認知症と隔離・身体拘束│人権センターニュースバックナンバーより

精神科病院の中で、手足や腰などを専用の道具で縛る「身体拘束」をされる人の数が増え続けている。毎年6月30日現在の全国の精神病床の状況を示す精神保健福祉資料によると、精神科で身体拘束を受けている患者は、2003年に5,109人だったものが、2013年には10,229人と実に2倍となっていることがわかった。

当センターの活動を維持し、充実させるためにご支援をお願いします。

現在、当センターの活動には、当事者、家族、看護師、PSW、OT、医師、弁護士、教員、 学識経験者、マスコミ関係者等の様々な立場の方が、世代を超えて参加しています。当センターは精神科病院に入院中の方々への個別相談や精神科病院への訪問活動、精神医療及び精神保健福祉分野への政策提言活動等を行っています。

会員・寄付について