お知らせ

療養環境サポーター活動に参加して│人権センターニュースバックナンバーより

2019.05.21 UP

療養環境サポーター活動に参加して

NPO法人ロータス 理事長
療養環境サポーター 弘 瑛美子

私は、10年以上前からになると思いますが、精神科病院の訪問活動に参加させて頂いています。現場の仕事もありますので、年に数回しか参加できず、本当に微力ですが、細く、長く、この活動に参加させて頂きたいと思っています。 他の診療科と違い、日本の精神科には、とても長期に渡り入院されている方が(40年以上も)たくさんおられることが、大きな人権問題として課題となっています。ご本人は、症状も安定され、充分退院できる状態であるにも関わらず、長期になったが為に、家族構成が変わり、受け入れが難しい、社会資源としての支援施設が少なすぎる事。また、まだまだ障がい、病気に対する偏見が根強い事。入院が長期化してしまい、その環境に順応するしか方法がなく、“退院したい”という意欲が奪われていった経過も、大きな要因と思われます。
精神科病院に訪問させて頂き、入院中の方や、看護師さん、スタッフの方々に、聞き取りをさせて頂きます。確かにまだまだ、入院中の方を一人の人として尊重する認識がうすく、「乱暴な言葉で命令される」「逆らうと保護室に入れられる」「体を拘束される」「主治医に退院したいと言っても聞いてくれない」「退院したくても言えない雰囲気で諦めている」そんな言葉を聞くこともあります。
しかし、精神科特例で、医師や看護師を少なく配置する事が、認められている為、一人一人の入院者に掛けられる時間がない事、スタッフに余裕がなく、手厚く話を聞いたり、ゆとりを持って、関われない事も、「いつも看護師さんは、忙しそうだから・・・」と優しい入院中の方達は、与えられた状況を我慢してこられた印象を受ける事が多い。ソーシャルワーカーが、たくさんいる病院でも、病棟の中で、全く見かけない事も、とても不思議に感じます。
40年前とは、制度も、資源も大きく変わり、利用できる福祉サービスも沢山ある。訪問看護や、ヘルパーさんの家事援助や、外出の同行、日中の支援施設、グループホーム・・・まだまだ不足しているものの、医療、地域、福祉、行政がもっと、本人を中心としたネットワークで、退院支援を迅速に行えるようになれたらと願います。
お話しさせて頂いた、多くの入院中の方は、優しく、礼儀正しく、誠実だった。季節の移ろいも解らない、退院の話をする事さえ憚られる、外から鍵を掛けられた病棟での長い長い年月の中で、何を想っておられるのだろうか・・。誰にとっても、一人一人の一日は、大変貴重なものなのだから。 
(NPO法人ロータス機関誌「蓮の上の猫」2017年12月号より、一部修正して掲載)

療養環境サポーター活動

精神科病院を開かれたものにする

■人権センターニュースバックナンバー2018年2月号 139号
▽【特集】2018年2月7日院内シンポジウム「精神科病院に入院中の人々のための権利擁護の実現に向けて」&厚生労働省との意見交換会の開催報告
▽療養環境サポーター活動報告/八尾こころのホスピタル
▽療養環境サポーター活動報告/ほくとクリニック病院
▽療養環境サポーター活動に参加して/療養環境サポーター 弘 瑛美子(NPO法人ロータス 理事長)
▽強制入院を捉え直すために/権利擁護システム研究会コーディネーター 竹端寛(山梨学院大学)
▽第3回権利擁護システム研究会 報告/長谷川唯(立命館大学生存学研究センター客員研究員)
▽医療保護入院についての問題事例の分析/大西香代子(甲南女子大学教授)
▽第3回権利擁護システム研究会での議論について/芦田邦子(地域生活支援センターすいすい)
▽個別相談ボランティア事例検討会 報告「足跡を残す活動」としての「面会活動」/検討チーム委員 角野太一(相談支援専門員・精神保健福祉士)
▽事例検討会に参加して/野林信行(弁護士・福岡県弁護士会)

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本誌は日本財団助成事業「精神科病院入院者への権利擁護活動の様々な地域への拡充」の一環として作成しました。

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