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『市民の目線』が精神医療を変える

2021.05.18 UP

やり取りを重ねてみえてきたこと

 私が大阪精神科病院協議会の役員であった頃、人権センターの活動がはじまった最初の頃はこちらにとっては受け入れにくいと思うような事を言われたり書かれたりして大阪精神科病院協会としてはずいぶん反論をしていました。

 ただ、精神医療オンブズマン制度が始まり、その協議会(現在は療養環境サポーター制度・療養環境検討協議会)で話し合いを重ねることで病院側の苦労も率直に伝えることが出来るようになりました。また、色々なやり取りをする中で、人権センターの指摘が療養環境の改善や職員の資質の向上につながることがあると実感できるようになっています。

 何より重要に思うことは、人権センターが『市民の目線』で、“自分が入院したらどうなるか?”という目線で疑問を投げかけてくれる。これは大変重要で、安心してかかれる精神医療を人権センターも病院側も目標にしているからこそ真摯に意見交換が出来ているということです。

 やり取りの結果、療養環境が良くなり職員の資質が向上すれば、病院の評判が上がり、精神医療につながりやすくなるなどよい影響が色々出てくるわけです。だから、大阪だけではなく他府県の病院でも『市民の目線』は取り入れた方が良いと思っています。

外からの目を受け入れること

 日本精神科病院協会は医療機能評価には最初は否定的でした。なかなか取り入れる病院もありませんでしたが今ではずいぶん広がりました。ただ、それでも未だに自己評価と仲間同士のピア・レビューだけで十分だと思っている人もいると思います。

 人権センターの最初の訪問活動である「ぶらり訪問」的な取り組みは全国にあると聞いています。静岡県の有名な当事者の方の団体“藤枝友の会”が精神科の病院に見学を依頼すると、シャットアウトされたという話がずいぶん前に日本病院・地域精神医学会で話されていました。

 例えば医療機能評価機構でサーベイヤーを受けた病院は全部名前が公表されます。中身を出すかどうかは別として、どの病院が市民の訪問を受け入れているかを出すだけでもその病院の姿勢が見えてきますよね。

どのように活動を続けるか

 精神医療人権センターの活動について、病院からお金を受け取ることは反対です。どこかで中立性が保てなくなるのではないでしょうか?訪問記録に手厳しいことを書かれると、病院の上層部は「お金を出してあげているので手心を加えて欲しい」というような圧をかけて来るのではないかと思います。

 だから、大阪精神医療人権センターのような活動は全国レベルでお金が集まり、それが各県のセンターに振り分けられる。各地の人はお金の心配することなく活動できる。そのうえで人権が守られているかどうかの評価を出すというのがいいのではないでしょうか。

 人権センターが取り組んでいることはボランティアではなく、本来なら行政がちゃんとお金を出さないといけないのだと思っています。

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