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入院体験のある精神医療ユーザーの「人権」と「権利」│人権センターニュース153

2021.10.27 UP

「人権」を伝えることの大切さ大橋聖子 ニュース発送・書籍販売ボランティア大阪精神医療人権センターに参加して離れて、そしてまた参加

大阪精神障害者連絡会(ぼちぼちクラブ)に顔を出すようになって、その流れで2010年くらいに、大阪精神医療人権センター(以下「人権センター」)が行っている講演会に参加しました。でも、人権センターの講演会を聞いて自分には難しいと思いました。講演会で話される入院体験者の話と自分とは違う、病院でそんなにひどい扱いを受けたわけではない私は場違いなんじゃないかと思いました。つらい病院体験をした人から「あなたには絶対わからない」と言われた時、居場所がないように感じ、しばらく離れていました。
ただ、ひどい人権侵害を受けたわけではないけど、自分としては病院に対して言いたいことがあると友達に話していたら、友達が「それって人権じゃない?大事な事じゃない?」と言われたときに、もう一度人権センターの活動に参加しようと思いました。

人権って難しいと思ってたけど

人権について、自分には難しいと勘違いしていたけど、人権は誰にでもある、普通の当たり前の生活をする権利のことなんだと知りました。例えば住みたい場所に住む事など誰もが保障されるべき当たり前の生活を守ることなんだとわかりました。

人権があると後から気付くこともある

病院にいるときに人権を意識したことはないですけど、当たり前の普通の生活を考えたときに、病院での入院生活を振り返った時に、これが人権だったのかなと思うことがありました。

例えば30年前の入院した時、病院で月1回意見交換会があったんですが、ある患者さんが「病院で出される、マーガリンの味が自分には合わないので変えてほしい」と意見を出して、そのことを話し合いました。後になって自分の好みの食事がしたいという当たり前の生活を送りたいとその思いを安心して話せる場所が病院にあったと、病院で人権が保障されていたんだと気づきました。

身近な人が人権侵害された時

20年以上前に入院した時、4人部屋に入院していましたが、同室に自傷行為がある患者さんが身体拘束されていました。他害行為等もない患者さんが身体拘束をされているのを見て、かわいそうに思った看護学生が拘束を外したんです。でも、すぐに主任の看護師がそれを見て、懲罰的に看護学生に患者の身体拘束をさせていました。看護学生さんも納得いかない様子で、それを見ていた同室の私も本当につらかったです。その時はしんどい気持ちを誰かに話すこともできませんでした。

病院は変化している。でも気になることはある

10年ぐらい前から病院の担当制が導入されています。入院したその日に担当看護師もしくは病室担当看護師が挨拶に来てくれて、自分の担当の主治医、看護師、薬剤師、PSW、OTなどを書いた紙を渡し、説明してくれます。以前は何か用事があっても誰に話したらいいのかわからなかったけど、担当がわかると○○さんいますかと言えばその人に繋いでもらえるし、担当が決まって責任があるので「今は手が離せませんけど、15分後に行きます」具体的な答え方に変わってきました。また担当看護師以外に、主任など話しかけやすい看護師に相談することもできることを、前もって説明してもらうことも人権が守られているなと感じます。

診察を個室でする先生もいれば、週2回の診察のうち、1回は個室、もう1回は病室で行う回診をする先生もいます。もちろん状態が悪いと言ったら面談室に移ってくれるんでしょうけど、入院中の方の中には回診の時に同室の人に聞かれたくないと思われる話を病室でしなきゃいけないことがあります。

人権侵害があって、本人は気付かないことがある

以前はシーツ交換を自分たちでしていたけど、3年前は看護師や看護職員がやりますからと言われるようになりました。でも、長く入院している方の中に、皆が寝静まった時間にコインランドリーのフィルターを掃除されている方がいて、「これは私の仕事だから」とされていました。使役が病院で見られることは少なくなった今も本人が気づかないうちに人権侵害されていることがあると思います。だから人権を伝え続けることは大切だと思います。

人権を知らなかったあの時の自分に

以前の自分に伝えることができるとしたら、「とりあえず、言いたいことがあったら言うてみ」と言いたいですね。特に、20年以上前の身体拘束を見た時の自分に、アクションを起こしても良かったんやで、別に名乗らなくてもいいから、投書でその時の思い「(身体拘束を)見てて気持ちが痛いです」という言葉だけでも伝えても良かったんやでと言ってあげたいですね。

これから自分がしたいこと

人権センターのミッションの中に「声をきく」があるが、自分は声を届けることをしたいし、人権センターからみんなに声を届けてほしい。私は人権センターのニュース発送に参加しています。声をきくというのは、電話相談で入院患者さんの声をきくだけでなくって、手紙で寄せられる声を集めたり、いろんな形で声をきくことができると思います。

人権について語れるのは、病院でしんどい体験をしてきた人だけではないです。普通のあたりまえの生活について誰もが語れると思います。入院の経験がある人、入院の経験がない人、いろんな立場の人が人権について考えられる座談会のようなものができたら、今後いいなと思うし、そういう活動にも参加していきたいです。

11月28日講演会

大橋さんへのインタビューを終えて(事務局 藤村)

人権って一人一人にある大切なものなのに、知られていない権利なのだと改めて感じました。大阪精神医療人権センターにかかってくる電話を取るとき、面会や病院訪問のときなど、しっかり声をきいて、その上で当たり前の生活を保障する人権について、意識してお伝えしていきたいです。
また、入院経験が有る無し関係なく、様々な立場の人が安心して精神医療に関する人権について考えることのできる場所を今後さらにどのように提供するのか検討していきたいです。


※本インタビューはSOMPO福祉財団のNPO基盤強化助成で実施しました。

人権センターニュース153│2020年8月号大阪精神医療人権センターの活動には、立場を超えて、「人権」というテーマを軸に、当事者・家族・医療福祉従事者・弁護士・教員・学生・会社員等いろいろな立場の方々が活動に参加しています。大阪精神医療人権センターでは、「声をきく」「扉をひらく」「社会をかえる」という価値観(ビジョン)を大切にして、活動を実践していますが、大阪精神医療人権センターの活動を更に拡充させるためには、当事者の方々の声をきき、その声や期待に応えていかなければなりません。>>>詳細 オンラインショップ>>>

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